注意ポイント
医療費明細の見方ってご存知ですか・・?
*いつもの記事よりこのカテゴリの記事は長いですよ・・?
こんな方におすすめ
- 最近入院したものの自己負担金額の根拠が良く分からない方
- 医療費決定の仕組みをざっくりと知りたい方
- 出会い頭に前回記事を読んでしまった方
前回お伝えした通り、
折角の医療系税理士(自称)なので、
今後、
まず、今回の入院を整理すると下図のようになります。
2つの病院を受診し入院した流れに沿って「領収書・
Ⅰ.「領収書・明細書の発行義務」(病院A)
救急外来を受診し1泊入院した病院Aでは「医療費明細」を貰えませんでした。
よって、まずは医療費明細のルールについて言及します。
医療機関では、会計時に貰える証憑として「領収書」と「明細書」があります。
「領収書」は大まかな診療行為別(例えば検査、投薬・・
一方、「明細書」はもっと細かい診療行為別(例えば血液検査GOT、
これらの交付義務については、
医療機関は「要求があれば交付する」旨の掲示もなくてはならず、発行手数料が1,
ちなみに、病院Aの医療費は次の病院B退院後に(妻が)
Ⅱ.(転院後)入院初日の医療費(B病院)
今回の急性虫垂炎は3泊4日でしたが、
概ね以下のスケジュールで入院生活を送った場合の明細書は添付の
step.1 1日目:昼過ぎに救急外来受診⇒診察・検査・画像診断⇒手術⇒入院
step.2 2日目:安静・昼から食事開始・夜には点滴抜去
step.3 3日目:入浴許可も出て終日読書を満喫♡
step.4 4日目:活動もほぼ正常となり10時に退院
医療費は月ごとに計算され、今回たまたま1/
まずは入院初日(1/31)
1.入院料(包括診療分)
今回は「包括診療分」に区分される入院料の基本部分は、原則「
メモ
*1病棟は、最大60床(一部経過措置的に70床)です。
人員基準や診療面の実績等により区分が定められており、
大まかにいうと、以下の組み合わせで入院医療費を計算します。
(1)組み合わせー一般論
①出来高部分
全て出来高の「入院基本料」であれば、
②包括部分
検査や投薬など、一部(場合によっては大部分)
それとは別に、一定の要件を満たす急性期病院は届出により「
メモ
*DPC/PDPS=Diagnosis Procedure Combination/Per-Diem Payment System=診断群分類に基づく1日当たり包括払い制度
参考
*「特定入院料」
今回入院した病院は②の「DPC/PDPS」
それが分かるのが明細書のこの部分です。
「DPC/PDPS」計算方法は以下の組み合わせによります。
(2)組み合わせー今回の場合
①点数部分
診断群によって定められた点数です。
今回、「虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの」というツリーに従い、1日目7,
Ⅱは「DPC/PDPS」を採用している病院の平均在院日数、Ⅰ
早く退院できると単価が高くなるように設定されています。
なお、「Ⅱ」の期間を超えると「Ⅲ」そして「対象外(出来高)」
関連
*パーセンタイル値とは、全体を100として小さい方から数えて
②出来高部分
手術を中心とした「ドクターフィー」
今回入院ではどのような項目が出来高算定となっているのかを解説
2.出来高部分の各要素
(1)初再診
外来では同じみの「初診料」288点が算定されています。
余り知られておりませんが、
包括となったり外来患者が入院する場合など、
(2)入院料
先ほど解説したDPC/PDPSによる入院料の加算部分です。
主として人員配置や実績により別途届け出をする事で算定可能とな
①患者サポート体制充実加算(入院初日70点)
相談窓口を設置していること等により算定できます。
②救急医療管理加算1(入院から7日間まで900点/日)
救急病院等が重症患者を受け入れた場合に算定できます。
(3)医学管理料
①肺血栓塞栓症予防管理料(305点/入院中1回)
手術後、医療用のストッキングを一晩履かせて貰いました。
参考
*肺血栓塞栓症とは、
(4)検査料
明細書を見るとかなりのスペースを占有しておりますが、
受診した際は「また検査・・」という印象もありましたが、病院としては費用持ち出しでやってくれているので「
(5)画像診(断料)
ここもCTやX線そのものの料金は発生しておらず、「
ⅠはX線、ⅡはCTに対応するもので・・
小さい病院だと放射線技師しかいない場合が殆どなので、
(6)投薬料~(8)処置料
ここも料金は発生しておりません。
手術後の点滴や薬などで、
(9)手術
手術については先ほども触れましたので割愛しますが、その他に「
これは、
(10)麻酔料
素人的には手術の一環で麻酔をするイメージですが、
点滴についても、術後のものは入院料に含まれますが、
本体9,355点に、
(11)病理診断料
今回は虫垂を切除したので、その組織の中に悪性な要素(
一か月後の外来でそのような説明があるのだと思われます。
Ⅲ.入院2日目~4日目の医療費(B病院)
怒涛の手術当日が過ぎ、
その辺が医療費にも著明に表れているので1日目との比較も含めて
1.入院料(包括診療分)
先ほども触れた通り、1日目7,304点、2日~4日目5,
実際も、たまに診察を受けつつ、
2.出来高部分の各要素
(1)入院料
救急医療管理加算900点×3日は、
今回は緊急入院だったので算定となった訳ですが、
(2)検査・注射
初日と同様、
(3)投薬料
原則は包括診療分に含まれますが、
特に持病もないので、頓服の痛み止めと胃薬が(念のため)
メモ
*結局、術後の経過も良好で1粒も飲んでおりません。
(4)食事負担金
今回、手術翌日の昼から退院日の朝まで6食をいただきました。
特に、手術翌々日位になると「食事位しか楽しみがない」状態になるので・・「医療機関における食事の重要性」
食事療養費は、通常食(糖尿病など特定の疾病がある方以外)
メモ
*所得により減額されますが割愛します。
ちなみに、国への請求額は1食640円となります。
ともあれ、手術後には急速に体力が回復し、無事に退院することができました。
次に、この入院に係る医療費について解説してみます。
Ⅲ.自己負担額
まず、自己負担額決定のプロセスは以下の通りになります。
このプロセスに沿って解説を試みます。
1.算定点数及び食事療養費の決定
Ⅱ.で解説した通りですが、
この点数を基に自己負担分が計算されていきます。
2.保険証に基づき自己負担分の決定
注意ポイント
*ここから先は「70歳未満・年収約370万円~770万円」
(1)負担割合に応じた金額計算
まず、私も当然そうですが今回の事例だと自己負担は「3割」
図中の点数に10円/点と3/10を乗じ、
参考
*上記とは別に、病院Bでの食事代が460円/食×6食=2,
この後の展開もあるので「月ごとの自己負担額(食事療養費除く)
(2)高額療養費制度
名前は聞いたことのある方が多いと思われますが、
ポイントは、
月毎の医療費に対して上限がある。
複数の病院での自己負担額は合算できる。
所得に応じて上限が異なる。
です。
今回の自己負担額に対する上限額は以下のとおりとなります。
この場合、運悪く(?)月を跨いでしまったので、
予定入院であれば・・
3.人によっては更に補助が・・。
事前又は事後の申請により高額療養費限度額を超えた部分は自己負
(1)健康保険による補助
私(の職場)が加入する健康保険組合では「
具体的には「月35,
参考
*加入している健康保険により補助の有無・内容は異なります。
この時点での自己負担額は、
はてな
①1月分=35,000円
②2月分=31,190円+食事療養費2,760円=33,
③①+②=68,950円
となりました。
(2)医療保険の給付
いわゆる民間の保険です。
私は某共済(月額4,000円程度)に加入しており、
今回、合算して4泊5日なので、9,000円×5日=45,
Ⅳ 結論
最終的な自己負担額を健康保険適用前(自費)
参考
*
なお、最終的な自己負担額については「医療費控除」
少ない自己負担で良い医療を受けることができ、
一方で、
メモ
*長くなりましたが「医療については真面目」
ポイント
まとめ
・入院は月内に入退院する方が自己負担額は少なくなりがち。
・明細書の内容は理解すると面白い面もあるが、自己負担額は保険者等による上限に依存することが多い(よって、明細書の内容を理解しても暮らしのヒントは浮かんでこない。)。
・高額療養費制度や保険者の補助までを理解したうえで医療保険の加入内容を検討するべき(過剰な医療保険に加入しないために。)。